租税教室講師奮闘記

名古屋中村支部 田畑 達也

　令和6年5月15日（水）、私にとっては久しぶりの租税教室の講師として学校へ講義に行きました。初めて赴くその場所は、名古屋駅のシンボル的建物で、外からは何回も見たことある名古屋モード学園です。90分という長尺の講義に加え、将来独立して開業する生徒向けに確定申告についての内容も取り入れてほしいという要望に対し、事前準備は念入りに行いました。
　昼休み明けすぐの90分の授業となると生徒は集中して聞いてくれるのか不安が大きかったですが、学校自身の教育方針も素晴らしく、全ての生徒が最後まで集中して聞いてくれ、確定申告のテーマについてはメモを取る生徒もいました。
　租税教室の私の個人的なテーマですが、授業を通して「税とは何か」「税金は何のために必要なのか」「これからの自分と税の向き合い方」を考える一つのきっかけにしてほしい、将来、仕事をして今以上に納税というシーンに立つ際に「昔、税理士っていう人が税金のことについて授業で話していたな。」と思い返してくれる、租税教室で話を聞いてくれた生徒たちの心に残るエピソードになればと考えております。とは言うものの、何か生徒たちの気を引く面白い話ができるわけでもなく、印象に残りやすいキャラクターでもないので、淡々と時間通りに生徒たちにも分かりやすい言葉選びで伝えたいことはしっかりと話すことに努めています。
　私の最初の租税教室は、支部会員からの依頼で、嫌々ではないですが特に積極的にやりたいという感じでもなく、なんとなく引き受けました。どうしても租税教室の講師は税理士の本業ではなくボランティアのようなもの、という思いが強かったからです。しかし、実際に講師をやってみると、とても有意義で、租税教室を通して私自身税理士として社会公共的使命をもって業務に取り組まなければと襟を正すきっかけにもなります。
　私も数多く租税教室の講師を行ってきたわけではないですが、たくさんの会員の皆様にぜひ租税教室の講師をやってみていただきたいと思っています。私たち税理士は申告納税制度の担い手として納税者の所得計算からの申告の手助けが主な業務だと思います。納税者の「過去」の収支から申告書を作る業務に対し、租税教室は日本の将来を担う生徒たちに対して税についての正しい知識と理解を深める活動であり、大げさかもしれませんが、日本の「未来」を作る活動だと思っております。最初はなかなか上手にできず、声が小さい、早口になる、予定していた時間より早く終わってしまうなど、失敗はありますが、回数をこなすことで下手になることはありませんし、どんどん上達していきます。なにより、生徒たちの積極的な授業への参加や質問、感謝の言葉をいただけることは普段の業務とは異なるやりがいを感じることができます。
　今回、ご縁があって100人近くの生徒たちの前で租税教室の講師を行いましたが、少しでも多くの生徒たちの将来にプラスとなるお話ができていたら良いなと思います。一回でも講師を担うことで多くの人の豊かな人生に寄与できると思うと、租税教室という活動は素晴らしいものだと改めて感じました。